コスト削減でWebサービスを構築すると失敗するかもという話

公開日
記事の執筆者
Hiroki Ueno

想定する読者

既存のWebサービスを利用するよりも自前で用意する方が低コストという認識をお持ちの方

背景

世の中には多くのブログサービスが存在しています。驚くことに利用者はそうしたサービスを無料で使用できます。記事を更新するための管理画面が用意されていて、無料で利用できるのは素晴らしいことです。

現代の私たちは何か困ったことがあるとネットで検索をします。検索結果から知りたい情報を掲載しているサイトを探し出します。サイトの閲覧は基本的に無料です。

また、最近ではクラウドソーシングが発展しており、WebサイトやWebサービスを構築したいという方に向けたサービスが数多く提供されています。

こういった背景もあり、WebサービスやWebサイトを構築して運営することは比較的ハードルが低いことだと思われるかもしれません。低コストでWebサービスを構築できると。

しかし、いまWebのBtoB業界で主権を握るのはSaaSと呼ばれるサービスです。個別の組織の機能を集約的に担い、エコシステム全体の生産性を高めるようになっています。

SaaSが集約的に機能を担うことで、知識と経験が集約され、結果的に低コストかつ高品質なサービス提供につながるのでしょう。

これからはSaaSを活用する時代です。

課題

コスト削減のためにWebサービスを自前で用意しようとして結果的にコストが増大してしまうケースが少なからず発生しているようです。

その背景にはWebサービスの構築と運営に関して誤った認識があるように感じられます。ではその誤った認識とは何か、実際はどうなのかをこの記事では提言します。

コスト削減がコスト増大につながる

それでは詳細を確認していきましょう。

Webサービスに関する誤った認識

この記事の冒頭でも述べた通りですが、Webサービスというのは誤認されやすいものです。物理的なモノを扱うわけではなくあくまでサービスなので尚更です。

よくある誤認をみていきましょう。

一度作ればずっと動くはず

Webサービスを構築してくれる人は世の中にたくさんいます。Webサービス構築を専門とする法人だったり、最近ではクラウドソーシングで個人が請け負うケースも増えてきています。

受注を競うかたちでサービスの提供価格が下げられたりもします。

そうした状況を見るとWebサービス構築のハードルは低く感じられることでしょう。そして、納品されたWebサービスはずっと動くものと期待されるはずです。

しかし、実際は大きく異なるので注意が必要です。

Webサービスは生物です

放っておくと鮮度が落ちるのと同様にWebサービスも放っておくと錆びます。Webサービスというのは多くの部品から構成されます。

それらの部品は時とともにアップデートされます。すると何が起こるのか。

部品が更新される、部品が変化するので部品の組み合わせを調整する作業が発生します。これがいわゆる運用という作業です。

Webサービスには運用の作業が発生します

古くなった部品を更新するだけではなく、古くなり使えなくなった部品を新しい部品に置き換える作業が発生したりします。

また、部品に何かしらの脆弱性が見つかってセキュリティ上、機能的に問題が生まれる場合もあります。

こうした作業が運用として発生することは認識しておくと良いでしょう。

Webサービスは改善することになる

Webサービスは作って終わりではなく、改善が必要となることがあります。Webサービスを使う中で見えてきた改善点や新たな機能を追加したい場合には、改修の作業が発生します。

改修というのは誰にでもできるというものではありません。改修の際にはそのWebサービスがどのような思想で設計されているのかを理解する必要がありますが、設計思想を無視した改修をするとその後の運用と改修のコストが高まったりします。

したがって、最初にWebサービスを構築した人に改修作業を依頼するのが良かったりしますが、依頼を受けてくれるとは限らないので注意が必要です。

ともあれ、作りっぱなしではなく、新たな機能を盛り込む等Webサービスは改善することになるわけですね。

既存のサービスを使うよりコストが低い

ここまでご紹介した内容からわかることではありますが、Webサービスを構築して運用するというのはコストがかかります。それもランニングコストとは別に改修のようなコストもかかります。

こうした点を考慮すると、SaaSのような既存のサービスを活用する方がコストを抑えられる場合が少なくないことがわかるはずです。SaaSを利用する側からすれば一定のランニングコストをかけることでサービスを利用できます。

SaaSの運営主体が改修とメンテナンスのコストを払っているわけですから、サービスの機能は改善され、常に質の高いサービスを受けられるわけです。

既存のサービスを利用する方が時間と費用というコストだけではなく、得られるサービスの質も高められるかもしれませんね。

思い通りに作れるはず

自前でWebサービスを構築する利点としては、オーダーメイドで自らのニーズに最適化した設計にできる点があります。

とはいえ、質を高めるためには時間と費用というコストがかかるので、そのWebサービスを世の中に提供することが価値である場合を除いてはあまり良い選択肢とはいえないかもしれません。

実際にはコストがかかります

Webサービスの運営にはコストがかかることを認識されたかと思います。実際にはWebサービスを動かすためのサーバーを用意したり、できることを増やそうと思えばコストはかさんでいきます。

まとめ

この記事ではコストを下げるためにWebサービスを構築すると逆にコストがかかる場合があるということを提言しました。

場合によっては、この限りではないかもしれませんが、参考になれば幸いです。

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